生まれてから老いて死ぬまで

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いま、私が一番興味があるテーマが

『老い』という発達心理です。

『老い』はできてきたことが
『できなくなる』という発達です。(これも成長)

それまでは、

できないことを、できるようになっていくという
達成のプロセスで学んでいきますが、

『老い』とうい学びは

『できたこと』が『できなくなることを受け入れる』という学びの質が変わってきます。

もし、それに気づいてない健康なまだ若い方も、
親の老いを目の当たりにしていくともあるし、

たとえば、若くしても、病気などで、
人より早く『できなくなる学び』がやってくる方もいる。

みな、それぞれ年齢を重ねるにつれて
学ぶ質が変わってくるといっても過言ではありません。

また、セラピストを目指す方も、
この発達心理を知る必要があるのです。

できること
目標達成が

やりたくてもできない。
また、以前にもまして体の機能や、家族の問題などもあり
スムースにできなくなっていく。

ある意味、

諦めるという言葉に置き換えるのが好きではないですが、

きれいに表現すれば
『受け入れる』という学びがやってきます。

自分に打ち勝つことを手放し
『老い』という自然現象、生命あるものには平等課せられる
時間の制限を学んでいくのです。

この老いという発達なくして
心理の世界は語れないと思っています。

老いは人を許すという学びも同時にやってきます。

もし老いを受け入れなければ、
できない自分を責め続け
他人をも責め続けるでしょう。

私は過去に
見苦しい老人を見てきました。
そうですね。老いを受け入れられない人たちです。

ところが、
老いを受け入れ、
できないから、『よろしくね』という素直に老いを受け入れている人は、とても美しく見えたんです。

その人たちだって、過去は私たち若い世代のように
なんでもできたし、なんでもやってきたんですよね。

その老いを私は大切にしたいと今とても思うのです。

私自身、若い時に持病が悪化して
周りと同じように働けなくなる。
病気ばかりして常に病院にいっている日々でした。

若くして、『体が思い通りにいかない』という経験をしたんです。
一種の老いですね。

だからこそ、
できなくなる気持ち。
諦めなきゃならない気持ち
それでもあきらめたくない気持ち
周りと自分を比べる気持ち。。

また、老いとなれば、
年下の若い世代と、自分を比べる気持ち。

この葛藤は必ず出てきます。

でも、どうだろうか。
複雑な気持ちはたくさんでてきますが、
歳を重ねた分だけ知恵や経験があり、
若い時よりいろいろなことがショートカットできる要領の良さを得ているはず。

スピードも若者と違う。

肉体的なスピードでなく、
知恵、能力、経験的スピードです。

これは、どんなに若い人でも経験には勝てないのです。

老いは
同時に、

『勝ち負け』という意識を改めさせてくれます

誰かと競うのではなく、

では、本来の自分の目的は何?
あなたは、どうやって死んでいくの?
死ぬためにあなたは何をするの?
を老いはずっと私たちに言葉をかけてくれてる。

だのに、過去の栄光や、名声にしがみつき、
過去の自分と現在の自分を比べる。

本当は違うんですよ。

未来が老いであり、
未来に何をするか?考えねばならないのに、
どうしても、『過去』と自分をくらべてしまう。

老いていく自分と過去を比べてなんの意味があるんでしょうか。

若い時と、
いまは全然別物だと考えることが健全です。

50代と20代では苦しみの質が違う。
また、喜びの質も違う。

また、家族との関わりも変容してく。
私たちは老いながら、変容してくのです。

こうやって、私たちは、
生老病死を学んでいくのです。

ある意味、
悪あがきをやめて、
あるべき自分に戻り、
そして、シンプルにこの世でなにをやるか?

周りと比べる雑念を取り除き、
シンプルに生きる作業になってくる。

だから、それを受け入れているおじいちゃん、おばちゃんを見ると、
ほっこり心が温かい。

そして、何をしても、していなくても、

ふとその人がかけてくれた言葉に真実があり、優しさがあり、
かたくなに閉ざしている心も
ふとした言葉で溶かしてしまうくらいのパワーがある。

人は、老いながら、輝きを放っていくんだなって改めて思います。

以前、私がとてもとてもつらい経験をしたときに、
80代のおじいちゃんが私に言った。

『つらい恋をしたのかい?人生はそれでも麗しい。恋をいっぱいしなさい。』と。

思わぬことばにびっくりして、おいおい泣いてしまった。
もうあれは、25年くらい前ですからご存命ではないかもしれない。

でも、そのおじいさんの言葉は私の胸にこうして残っている。

あのとき、かたくなな心がとけて、おいおいとないてしまう。
あのパワーは年齢と苦しみを、喜びを重ねた人にしかだせないパワー。

そういう人たちに触れていたら、
私も老いがちょっとだけ楽しみなんです。

親が老い、夫も、私も老い、
そうやって、世代交代していくのです。

私たちはとくに、
自分がおいていく。周りも老いていくという前提で過ごすことが
40代、50代では受け入れていく課題なんだと感じます。

20代30代とは感覚が変わってきて当然。
また、

あの若かりし頃を振りかざすのも違うわけです。

みなさんは、どんな年齢を積み重ねていきたいですか?
また、老いていく親や周りをどんな風にサポートしていきたいですか?

真剣にそういう『老い』を考えることができる時代。

生きる『質』と向き合っていけたらいいですね。

親が老いていく中、自分たちも老いていく中、
これからどんな風に生きていきたいか?
考え、パートナーがいるかたは話し合っていけたらよいですね。

老いを『学び』として受け入れるための準備が私もスタートしています。